ハンドレンジの一連の項目を公開したので、ようやくバランシングについて書きたいと思います。まだ見ていいない人は、先に読んで置くとバランシングの理解が早いと思います。
バランシングは長期的に、より高い利益を得るための大事な考え方です。バランスをとる、バランスする、とも言います。
バランシングとは
バランシングとは、簡単にいうと、特定のアクションを行なった時にあなたが持ち得るハンドレンジを広げて、相手に読ませにくくする、ということです。
また、バランシングは以下の状況でないとそれほど意味がありません。
- あなたのレンジを読もうとする注意深いプレイヤーが相手であること
- 相手は上級者で、あなたのレンジの弱みを付いてくるプレイヤーあること
- 何度も顔をあわせる常連が相手であること
つまり、初見のプレイヤーや、レンジなんて考えない相手にはバランシングを考えるのではなく、相手の思考にあわせた(一つ上の読みをする)プレイを心がけるべきです。
例1:オープンレイズするレンジのバランス
バランシングを考える上でまずはスターティングハンドで練習するのが良いでしょう。
正直でわかりやすいタイトなプレイヤーであるあなたがUTGからレイズした段階で、賢い常連の上級者はあなたのレンジが「88+, ATs+, AQo+」だとわかっています。あなたのレンジには86sはないのです。
フロップが457のレインボーだった時に、賢い上級者はあなたがこのボードを嫌っているのを知っています。
相手は7をヒットさせていて、あなたのハンドがQQであればある程度稼げるかもしれませんが、大きくは稼げません。賢いプレイヤーは負けてるときは早々に退散し、勝ってる、もしくは降ろせると思った時だけ攻めてきます。
AKを持っていて457といったボードでプレイしやすくするためには、86や56といったハンドで10回に1回程度でオープンすべきです。そうすることで、賢い上級者は、あなたのレンジを「88+, ATs+, AQo+」といった狭いレンジに固定することができなくなります。
あなたのハンドはAハイなのか、オーバーペアなのか、それとも2ペアなのか、ストレート完成なのか、ドローなのか、いろいろな可能性を考慮する必要が出てくるので、相手はプレイが難しくなります。
UTGから86でオープンする、というプレイが利益をもたらすのかというと、その1ハンドに限って言えば期待値が低いかもしれませんが、別のゲームでのAKでのプレイで利益をもたらしてくれるでしょう。
こうして、あなたのUTGからオープンレイズするレンジを守っているのです。
例2:ブラフチェックレイズ
リバーでのブラフチェックレイズを見てみます。
アウトオブポジション(ポジションが悪い)で強いハンドを持っていた場合、リバーで必ずしっかりと先にバリューベットをするプレイヤーがチェックレイズすると、賢いプレイヤーはボトムヒットでコールします。
強いハンドならあなたはチェックせずにバリューベットするからです。つまりチェックレイズは弱みであると知られているのです。
こうしたブラフのバランスをとるには、強いハンドでもチェックレイズをしなければなりません。
そのゲームに限ってのより多くの利益を得るためのベストな選択肢がバリューベットだとしても、強いハンドで何回かに1回はチェックレイズします。そうすることでブラフでのチェックレイズでのレンジを守ることになります。
例3:75oをショウするのが嫌?
タイトだと思われているあなたは、UTGからがんばって75oでオープンレイズし、一人にコールされ、リバーでもまったくヒットせずに気合でブラフするも最終的にコールされショウダウンすることになりました。
75oをショウするとあなたのテーブルイメージはひどく悪くなります。(悪いかどうかは捉え方次第ですが)
75oなどショウせずにマックしたくなりますか?タイトであると思われ続けたいですか?
本来ポーカーは特定のスタイルが優れているというわけではなく、対戦するプレイヤーに対応することが最も優れた戦略です。
現状、タイトなイメージを持つことが最も利益をもたらすのであれば75をマックすることはありかもしれません。
しかしUTGからのオープンレイズのレンジに75oが入ることで、あなたのUTGでのオープンレンジを守るという考え方を持ったほうがよりレベルの高い常連プレイヤーとの戦いを有利にします。
レベルの高いプレイヤーから見れば、レンジを固定しやすいプレイヤーほどカモにしやすいのです。
例4:CBを打たない時のバランス
ヒットしていてもしていなくてもCBを打つのはそれなりのプレイヤーであればできることですが、チェックするというアクションの時のバランスはとれていますか?
チェックした場合ほとんどの場合ノーハンドなのであれば、それを知っている相手は必ずベットしてあなたを降ろしにきます。
CBを打たないハンド(チェックする)の中に、強いハンドを一定混ぜることで、相手は「チェックしてきたら機械的にベットして降ろす」というプレイができなくなります。
そうすることで、ドローや2オーバーといったハンドでチェックした時に、相手がチェックバックしてターンをタダで見にいくことができるようになります。
例5:ブラフでドンクオールインする時のバランス
相手をおろしたい一心でエアー(ノーヒット)でドンクオールインすることがありますか?その時のハンドのバランスはとれているでしょうか?
ナッツやそれに近い強いハンドを持っている場合は、ポットを膨らませたいので小さくベットやチェックをする、という人はそこにドンクオールインも混ぜましょう。そうすればブラフでオールインした時に相手が恐れて降ろせる期待値があがります。
例6:フローティングのレンジのバランス
フロップでアグレッサーのCBに対して、ヒットしていればコール、ノーハンドならフォールド、というプレイを繰り返していると、エアーでCBを打った相手プレイヤーは、あなたがコールした瞬間に負けを悟ってもうそれ以上チップをポットに入れません。
しかしあなたがエアーでもコールするレンジを持っていれば、相手の判断は難しくなります。
例7:ベットしないとポットが取れない時のバランス
リバーでベットしないとこのポットは取れない、そうあなたのハンドは9ハイなのです。
それまでチェックでまわっていたのにリバーになってあわててリバーでベットした時、あなたのレンジにトップヒットや2ペアはありますか?なければAハイやKハイにコールされます。
ここでしっかりバランスが取れていれば、あなたがトップヒットの時にKハイでコールしてくれますし、あなたが9ハイの時相手を降ろすことができます。
例8:オープンリンプ
オープンリンプしますか?レイズしてアグレッサーになり、スチール成功の期待値を捨ててリンプしますか?リンプもするし、レイズもする、そういう人がほとんどだと思いますが、その時点でバランシングは複雑化します。
リンプする時にバランスし、レイズする時もバランスしなければなりません。どちらの時もAAがあり、どちらの時も56sがあると相手に思われなければなりません。
しかしオープンリンプはせずに参加する時は必ずオープンレイズしておけばそれだけでバランスできています。(もちろん一定の割合で56sなどでレイズしなければなりません。)
賢いプレイヤーに付け込まれる隙を作りたくない人は、オープンリンプしないことをおすすめします。
例9:一生チェックコール
アウトオブポジションでフロップ、ターン、リバーと最後までチェックコールというプレイはしますか?ショーダウンバリューがあるマージナルなハンドでポットコントロールしたい時によく見かけるプレイです。
3連続チェックコールのレンジが中程度な強さのハンドしかない場合、バランスできているとはいえません。
相手にそこに付け込まれた場合、リバーで相手は強いハンドでは毎回、エアーなら適切な割合でブラフオールインしてきます。チェックバックしてもらってチープショーダウンに持ち込みたいなら、強いハンドを持っているときもチェックコールを混ぜるべきです。
チェックコール→チェックコール→リバードンクもバランスが難しいプレイです。
まとめ
上の例を見ても分かる通り、バランシングを考慮すべきシチュエーションは多岐にわたります。というかポーカーをする上で全てのアクションに対して言えることです。
何かプレイでミスをした時に、「今のプレイはバランスがとれてたのか」と自問自答するだけでもバランシングは上達します。
問題は、バランスできてると思っていても、あなたがそう思うことが重要なのではなく、相手がそう思ってくれているかどうかが重要だということです。
例えばリバーでブラフオールインして弱いワンペアにコールされたました。
あなたは「おれはナッツでもエアーでも適切な割合でオールインする、だからバランスはとれてる、なのにコールされた、今回はたまたまコールされただけでプレイに問題はない」と考えました。
※適切な割合でブラフする場合、上級者もまた適切な割合でブラフキャッチャーでコールします。
しかし「ナッツでもする」とあなただけが知っていても意味はありません。相手が知っていてはじめて意味があります。
もしかすると相手の考えるあなたのレンジにはブラフしかないのかもしれないのです。相手が考えるあなたのレンジを常に考えましょう。
また、バランシングは、常連の上級者相手でないと意味がないと書きましたが、初見プレイヤーが多い大きなトーナメントでもそれほど考慮しなくてもよいでしょう。
アミューズメントのトーナメントは同じプレイヤーとよく同卓するので、バランシングは大事です。(レンジを考えてくれる相手でないと意味がないですが。)
バランスの取れるプレイヤーというのは、常に相手に難しい選択肢を突き付けます。
真面目すぎても、嘘をつきすぎてもダメです。どちらかに偏ると、相手の判断は簡単になってしまいます。
相手の脳みそをぐちゃぐちゃにするような難しい選択を迫るようなプレイができるように、バランシングを心がけましょう。
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