リバーでのベット

リバーでベットする時、そのベットがなんのためのベットであるのか、理由がなくてはなりません。フロップやターンと違い新たなカードは登場しないため、ハンドが進展することはありません。つまり、プレイヤー同士のハンドの勝敗はすでに決定しているのです。

ベットには合理的な説明が大事

リバーでなんとなくベットしていては、いつまでたっても初心者の域をでれないでしょう。特にポジションがない場合のベットは特に考えなければなりません。

なぜベットしたのか合理的な説明ができてはじめて正しいアクションと言えます。

合理的かどうかを判断するために、まずあなたのベットが起こすその後の現象を全て書きだしてみましょう。

  1. あなたよりも弱いハンドのプレイヤーがフォールドする
  2. あなたよりも弱いハンドのプレイヤーがコールする
  3. あなたよりも弱いハンドのプレイヤーがレイズする
  4. あなたよりも強いハンドのプレイヤーがフォールドする
  5. あなたよりも強いハンドのプレイヤーがコールする
  6. あなたよりも強いハンドのプレイヤーがレイズする

さて、これらの中であなたの利益(合理的)となるのはどれでしょうか?

最も利益になるパターン

2.あなたよりも弱いハンドのプレイヤーがコールする
4.あなたよりも強いハンドのプレイヤーがフォールドする

ベットの基本的な目的はこの2つになるはずです。

2は、あなたよりも弱いハンドにコールしてもらい、利益を増やします。いわゆるバリューベットです。
4は、あなたよりも強いハンドにフォールドさせることで、利益を増やします。

リバーでのアクションなので、ドローに捲くられるというシチュエーションは存在しません。

プレイ次第で利益にも損害にもなる

3.あなたよりも弱いハンドのプレイヤーがレイズする

これは、あなたのスキル次第で利益にも損害にもなり得ます。

3は、あなたよりも弱いハンドでレイズ、つまりブラフされていることになります。もしあなたがフォールドすると、本来得ることができるはずだったポットを失うことになるので、大きな損害となります。相手のブラフを見破ってコールかリレイズできた場合に、あなたは大きな利益を得ます。

損害が出る

1.あなたよりも弱いハンドのプレイヤーがフォールドする
5.あなたよりも強いハンドのプレイヤーがコールする
6.あなたよりも強いハンドのプレイヤーがレイズする

1は、厳密に言うと損害は出ていませんが、利益を増やせる可能性が高い状況をみすみす逃していることになるため、損害を出しているととらえることができます。

5は、あなたよりも強いハンドでコールされるため、あなたのベットは損害を増やしたことになります。

6は、基本的にあなたはフォールドするしかありません。相手のほうが強いからです。もし、さらにレイズすることで相手を降ろすことができれば大きな利益となりますが、「こちらのリレイズに対して相手は降りる」という判断を下す必要がありますし、リレイズをコールされた場合の損害は寛大ですから、非常に難しい選択です。

これらのことから、リバーでの基本的なベットの目的は

「あなたよりも弱いハンドのプレイヤーにコールさせるため」
もしくは
「あなたよりも強いハンドのプレイヤーにフォールドさせるため」

に行います。逆に言えば

「あなたよりも弱いハンドのプレイヤーにフォールドさせるため」
もしくは
「あなたよりも強いハンドのプレイヤーにコールさせるため」

にベットは行うべきではありません。

こんな時はベットすべき?

全員100BB持ちの6人テーブルでUTGのあたなは9s9cでリンプインしました。ルースなBTNがコール。タイトなBBがチェックしました。ポットは3BBです。

フロップ:4c5hTd

全員チェックしました。

ターン2h

BBチェック→あなたベット2BB→BTNコール→BBダウン(ポットは7BB)

リバーJs

あなたは9のワンペアのままです。あなたはもう一度ベットしますか?それともチェックしますか?

何が合理的なアクションなのかを検討してみます。

ベットする場合

あなたはベットしました、このベットはなんのために行ったのですか?

利益を産むためのアクションであるなら、上にも書いたように

  • あなたよりも弱いハンドにコールさせる
  • あなたよりも強いハンドを降ろす

このどちらかが目的でないといけません。

ではベットしたことで発生する損害と利益の可能性を考えてみましょう。

まず相手があなたよりも強いハンド、つまり今回の場合、2ペア以上はもちろん、TやJヒットを相手が持っている場合を考えます。

フロップがオールチェックでまわったことから、BTNはTは持っていなさそうですから、最後に落ちたJを持っているかどうかが焦点になりそうです。ただし、セットや2ペア、63でストレート完成などの可能性は低いとはいえあり得ます。

これらのあなたよりも強いハンドを降ろすことができれば、本来(ショーダウンした場合)失っていたポットを得ることになり、大きな利益を産みます。

このボードでJヒットや2ペア以上のプレイヤーは降りるでしょうか?(きっとコールされるでしょう。)

次に、利益を出すためには、あなたのベットによってあなたよりも弱いハンドにコールさせないといけません。

相手がどのようなあなたよりも弱いハンドであればコールするでしょうか?

あなたの9ポケットよりも弱くて、なにかしらの役になっているのは、33、66、77、88などのロー、ミドルポケットか、2、4、5のワンペアといったハンドです。これらのハンドを持っている可能性はどれくらいあるでしょうか?また、相手はAハイでもコールするようなタフなプレイヤーでしょうか?

ルースな相手なので、4や5を持っている可能性はありますが、それであればフロップでチェックしているでしょうか。ポジションがBTNで自分までチェックでまわってきてミドルヒット、ボトムヒットで打たないようなプレイヤーですか?66、77、88というハンドでBTNというポジションからプリフロップでリンプインするようなプレイヤーですか?

こう考えると、あなたよりも弱いハンドを持っている可能性は低そうです。よって、そのようなバリューの取れるハンドでコールする可能性はものすごく少ないことがわかります。

また、あなたのベットに対して、レイズしてくる可能性もあります。

相手のハンドがあなたよりも強いのであれば、あなたはフォールドしなければいけませんし、あなたよりも弱いハンドでブラフレイズしてきた場合は、あなたはコール(もしくはリレイズ)しなければなりません。レイズされた時に、相手のレイズをブラフとリーディングでき、コールすることができますか?このシチュエーションではレイズされてコールするのは難しいのではないでしょうか。

さて、あなたの行ったベットというアクションによって起こりえるその後のシチュエーションが全て出揃いました。

  • あなたよりも強いハンドでコールする(あなたはベットした分だけ損害を増やす)
    →ありえる
  • あなたよりも弱いハンドでコールする(あなたはベットした分だけ利益を増やす)
    →ほとんどない
  • あなたよりも強いハンドでフォールドする(あなたはポットサイズの利益を得る)
    →ほとんどない
  • あなたよりも弱いハンドでフォールドする(現状維持)
    →ありえる
  • あなたよりも強いハンドでレイズしてくる(あなたはベットした分だけ損害を増やす)
    →ありえる
  • あなたよりも弱いハンドでレイズしてくる(あなたはベットした分とポットサイズの損害を被る)
    →相手のプレイスタイル次第

となります。あなたが利益を得るパターンはほとんど無く、損害を増やす可能性と現状維持の可能性が大きな割合を占めています。

つまり、あなたのベットは損害こそ産めど、利益はほとんど産まないアクションであることがわかります。

なんとなく勝っていそうだから、という理由でベットしても、期待値はマイナスのプレイなのです。

チェックコール

同じシチュエーションで、ベットはせずにチェックコール(相手にベットされてもコールする)したとします。

あなたが先にベットした場合と比較して、一番大きな差は、相手がブラフする可能性が大幅に増えることです。

相手のハンドがあなたよりも強かった場合、相手はもちろんベットしてくるでしょうから、あなたはコールすると相手のベット分の損害がでますが、あなたが先にベットしたとしても相手はコール(もしくはレイズ)していたわけで、どちらにしろ損害が出るのです。

しかし、相手があなたよりも弱いハンドだった場合、Aハイやスモールポケット、ドロー滑りなどでブラフしてくる可能性がぐんとあがります。これをコールして利益を増やす機会を作ります。いわゆるブラフキャッチです。

もちろん、あなたより弱いハンドでそのままチェックする可能性もかなりありますが、どちらにしろ、相手がそのようなマージナルハンドであればなたがベットしていても降りていたと思われるため、ベットしたほうが利益が増えるわけではないのです。

  • あなたよりも強いハンドでベットしあなたはコール(相手がベットした分だけ損害を被る)
    →ありえる
  • あなたよりも弱いハンドでベットしあなたはコール(相手がベットした分だけ利益を増やす)
    →ありえる
  • あなたよりも強いハンドでチェックする(現状維持)
    →ありえる
  • あなたよりも弱いハンドでチェックする(現状維持)
    →ありえる

あなたよりも強いハンドを持っている場合に損害が出るのはベットした時と変わりませんが、あなたより弱いハンドでブラフしてくる可能性が増える分、利益を産む可能性が広がっているのがわかります。

チェックフォルド

チェックして、相手に打たれたら降ります。これはあまりにも消極的な選択肢です。99はそれほど強い状況ではありませんが、打たれたら捨てるほど弱いわけではありません。トップペアやオーバーペアが無い限り打ってこないようなタイトなプレイヤーであればチェックフォルドもありですが、長い目で見ると、コールしたほうが期待値は高いのではないでしょうか。

以上のことから、このようなシチュエーションでは、勝っていると思ってもベットはしないほうがよいことがわかります。

しかしこれは絶対ではありません。ベットしたとして、相手がAハイでもコールしてきそうだと判断したらベットすべきですし。オールインすることでJヒットを降ろせると判断したら、オールインも間違いではないのです。

勝っている場合と負けている場合の考え方

リバーでは、相手のハンドと自分のハンドを比較した時に、勝っているのか、負けているのか、もしくはどちらの可能性が高いのかを相手のハンドレンジから想定し、そこから、あなたが行うアクションによってどのような利益と損失が生まれるのかまで考えてからアクションしましょう。

ハンドはあなたが勝っていると思う場合

  • ベットして相手が降りるならベットすべきでない
    →チェックコールでブラフキャッチ
  • ベットして相手がコールするらベットすべきである
    →相手がコールする最大額のバリューベット
  • 相手がブラフレイズしそうで、それにコールできるのならベットすべきである
    →バリューベットからのブラフキャッチ
  • 相手がブラフレイズしそうで、それにフォールドするのならチェックコールすべきである
    →チェックコールでポットサイズをおさえつつブラフキャッチする

ハンドはあなたが負けていると思う場合

  • ベットして相手にコール(もしくはレイズ)されるなら打つべきでない
    →チェックコールかチェックフォルド
  • ベットして相手が降りるなベットすべきである
    →セミブラフ

チップの利益以外のバリューを考えた場合

上では、あなたがハンドで勝っている時、ベットして相手が降りるならベットすべきでない(ブラフキャッチすべき)と書きましたが、チップとしての利益以外が目的であればベットしても良い場合があります。

リバーであなたがベットをして、相手がフォールドしたとします。

あなたはハンドをマックに投げ入れ、その結果テーブルのプレイヤーはあなたのことをどう思うでしょうか?

  • ブラフでポットを奪いやがったな
  • 本当に何かの役ができていたのか?Aハイじゃないのか?

など様々なイメージを与えることになります。こうしたルースなイメージを持ってほしい(ルースなプレイヤーだと思われたい)場合には、あえてベットしてアグレッシブさを主張することも間違いではありません。実はあなたがタイトにプレイしているのであれば、ルースだと勘違いしたプレイヤーがマージナルハンドで突っ込んできてくれるかもしれません。

逆にリバーであなたがベットをして、相手がフォールドし、99をショウしてマックに投げ入れたとします。

初心者は「あ、ちゃんと強いハンド持ってるからベットしたんだ」と思います。

上級者は「9ポケでそのベットはバリュー産まないだろ、ワンペアがあればなんでも打つタイプだな」と思います。

こう思わせることが結果的に得をする、と考えた場合もベットは間違いではありません。いわゆるテーブルイメージです。そうした効果を求める場合は、利益を考えないアクションも正しいと言えるでしょう。

あなたがベットする理由が「勝ってると思うから」や「降ろせると思うから」といった安直な考えでは長い目で見ると期待値は上がりません。

勝っていると思うのなら、いかにして利益を最大化できるか考えましょう。勝っていると思うからこそ、チェックするという選択肢もあるのです。

負けているけど降ろせると思うなら、相手はどう考えて降りるのか考えましょう。相手はいったいどういうストーリーを考えて降りるのか、相手の思考を読み、それを説明できなければ降ろせる確率は一向に上がらないでしょう。

勝っているからベット、負けているから降ろすためにベット、というアグレッシブ一辺倒では、長い目でみた時に中々利益は上がりません。

ただし、なんでもかんでもコールするようなパッシブ一辺倒よりもマシではありますね。

そういう意味では「悩んだら打つ」というのもあながち間違いではありません。

コメント 名前とメアドは必須ではありません

タイトルとURLをコピーしました