効果的な非常識プレイ

アクションを読まれていると思われる時に、予想外の行動で相手のリーディングを外します。

常識的なプレイは読まれる

うまいプレイヤーは、相手のアクションから、ハンドレンジを必ず想定します。ハンドリーディングが優れているプレイヤーなら、リバーまでいけば、相手がどのようなハンドを持っているかある程度わかると言っても言い過ぎではないでしょう。

あなたがまだ未熟なプレイヤーで、上級者とテーブルを囲むことがあれば、あなたのアクションは全て相手への情報となっていると思わなければいけません。あなたが素直にプレイすればするほど、上級者はあなたのハンドが手に取るようにわかります。(最も賢明なのは上級者と同じテーブルに座らないことです。)

日本でもポーカーの書籍が翻訳されて発売されたり、ネット上にスキルアップのための情報が増えてきました。ポーカーは古いゲームですから、過去にプレイヤーが模索してきた「こうやってプレイすべき」というある程度の基準が存在します。

  • ナッツを持ったらスロープレイすべき
  • Aポケットはプリフロップでレイズすべき
  • フロップではオリジナルレイザーまでチェックでまわすべき

など、全てのシチュエーションで言えるわけではありませんが、模範的で常識的なアクションやプレイというのが存在します。

ポーカーを覚え立ててであればあるほど、こうした模範的なプレイを目指してしまいます。しかし上級者はあなたが模範的なプレイをしようとしていることを知っています。

上級者の考え方

あなたがアーリーポジションからレイズすれば、上級者はあなたのハンドレンジをAJ+か99以上のポケットと想定するでしょう。

フロップでAA7が落ちてあなたがCBをうたずにチェックすれば、AKを持っていて罠にかけたいのか、ハイカードのポケットを持っておりA持ちがいないことを確認したいのか、QKなどのハンドで外したのか、いずれかだと想定するでしょう。そしてあなたのプレイスタイルや打ち方の傾向から、そのどれかを高い精度で絞り込みます。

相手のリーディングを外す

大事なのは、相手の予測を外すことです。

フィル・ゴードンのポーカー攻略法 実践編」にも書かれている、フィル・ヘルミュース相手に行ったあべこべのプレイです。

  • ここでは通常レイズすべき→逆にコールする
  • ここでは通常チェックすべき→逆にベットする
  • このハンドは通常レイズすべき→逆にリンプインする
  • このハンドは通常コールすべき→逆にレイズする

これは毎回こうするべきだと言っているわけではありません。アクションやプレイの傾向を散らすべきなのです。毎回教科書のように決まったプレイしかしないプレイヤーほど戦いやすい相手はいないでしょう。

こうした「普通はこの場面ではこうするはず」という常識は、上級者の頭から消えることはありません。なぜなら、世の中の大多数のプレイヤーは常識的なプレイを行うため、「相手は常識的な行動をとっている」と考えるほうが、長期的には利益が出るからです。

例えば、8人の正直なプレイヤーと1人の嘘つきプレイヤーとあなたの10人でリングゲームをしていたとします。あなたは誰が嘘つきかわかりません。

そんな状況で相手がリレイズしてきた場合、あなたのハンドがマージナルハンドなら、全てフォールドするのが数学的に正しくなります。一人のブラファーの存在のために、全てコールしていたら、大損害を被ります。

そのため、大前提として「全員正直である」という考えを消し去ることはできないのです。(ただし、嘘つきが誰か特定された場合ば別です。)

あなたがもし毎回常識とは逆のプレイをし続けていたら、上級者は瞬時にその傾向を見抜き、対応されてしまいます。そのため、やはり「散らす」のが大事なのです。

ケースごとの考え方

よくあるシチュエーションごとの非常識なプレイの考え方です。

フロップでモンスターハンドを引き当てる

6人のルースなテーブルであなたのテーブルイメージはタイトです。
あなたはアーリーポジションでAsJsで3BBにレイズ。BTNとBBがコール。

フロップ:AdJhJd

BBはチェック

ここでの常識的なプレイとはなんでしょうか。あなたはAポケット以外にはほ負けない強烈なハンドを持っています。

「ナッツを持ったらスロープレイ」

という常識通りなら、チェックでまわすか、小さめのベットが正しいようです。

しかし常識を外すのなら、ビッグベットです。

あなたはポットサイズをベット。

BTNはあなたのことを「AAやAJならこんなに大きなベットはしないはず。J1枚を持っていてももう少し小さめのベットにするはずだ。Aヒットでもポットベットは大きすぎる。降りてほしいから大きなベットをしたんだ!」と考えそうです。

もしBTNがAやJ、ポケット、フラッシュドローを持っていたら、コールしてくれるかもしれません。

逆にあなたがチェックや小さめのベットをしたらどうなっていたでしょうか。

慎重なプレイヤーならあなたのチェックに罠の臭いを感じ取り、小さめのベットは、いかにもコールしてほしそうに見えます。ボードの気配は危険なため、フォールドしてしまうかもしれません。

BBでAポケットが来る

6人のタイトなテーブルで、あなたのテーブルイメージはタイトアグレッシブです。
あなたはBBでAsAdがきました。MPとBTNとSBがリンプインしました。

ここでの常識的なプレイはなんでしょうか。

Aポケットは最強のスターティングハンドです。レイズして参加者を減らし、できればヘッズアップにするのが常識的なプレイだと言えます。

ここであなたもリンプイン(チェック)し、4人でフロップに進みます。

ヘッズアップなら、Aポケットはランダムハンドに対して85.3%の勝率がありますが、相手が3人だと63.9%まで下がります。

Aポケットを持ちながらリンプインし、多人数でフロップを見に行くというのは(常識的には)大きなミスです。

しかしこのプレイで得られるものは、誰もがあなたのハンドを「Aポケットはあり得ない」と思っていることです。

このイメージを最大限に活かしてフロップ以降をプレイし、大きな利益にします。

例えばフロップがJd9h3cだった場合。

Jや9をヒットしたプレイヤーからできる限りチップを引き出しましょう。相手プレイヤーは、あなたがまさかオーバーポケットを持っているとは夢にも思いません。

あえてオールイン

オールインはノーリミットテキサスホールデムおいて最大の攻撃です。ではオールインは、最強のハンドを持っているという主張であるのかというとそうではありません。

そう、ナッツを持ったプレイヤーはスロープレイをするからです。

パワフルなハンドを持ちながらオールインして相手を全員降ろすのは愚かなプレイだとほとんどのプレイヤーが思っているはずです。

ルースなテーブルであなたのテーブルイメージはルースアグレッシブだとします。
あなたはBTNでAsKdが配られました。

MPコール→あなた3BBにレイズ→SB・BBフォールド→MPコール

フロップ:Kc9h2d

MPチェック→そしてあなたの番です

ここでの常識的なプレイはなんでしょうか。あなたのハンドはトップヒットトップキッカーという素晴らしいハンドです。ボードにはドローの気配はほとんどありません。

通常ポットの30~60%程度ベットをして相手がおりればそれでOK、コールされても一向にかまわない、というスタンスになるのではないでしょうか。できればKヒットの弱いキッカーや、9ヒット、5ポケットのような微妙なハンドでコールしてもらい、たくさんのチップを吐き出してもらいたいはずです。チェックをして罠にかけるというのもありです。

ここで、常識的にはおかしい、オールインを選択したとします。

すると相手には逆にあなたのハンドは弱いよう見えます。強ければオールインはおかしいからです。相手はあなたのオールインを

「AQやAJで、お互いノーヒットなら今降りてほしい」
「ミドルペアで、この場でポットを奪い取りたい」
「純粋なブラフでなんとか降ろしてしまいたい」
「スモールペアで、相手がノーヒットに賭ける」

このように受け取った場合、Kヒット、9ヒット、ミドルペアなどを持った相手なら、あなたのオールインにコールするかもしれません。

まとめ

このように「相手にコールしてほしい」というプレイだと相手は警戒し、「相手に降りてほしい」というプレイだと逆に相手は乗ってきます。

プレイヤーは常に相手が嫌がるプレイをすることを目指していますから、あなたのアクションから読み取れる「コールしてほしい」「降りてほしい」という主張と逆のことをしてくるのです。

このような、「相手の真意を読み取ろうとするプレイヤー」を相手にしたときこそ、常識とは逆のプレイを試みてみるべきです。

コメント 名前とメアドは必須ではありません

  1. ポーカーマン より:

    全ては、そのポーカーテーブルの力学がどう作用しているかによって、
    効果的なプレイかどうかが決定されるので、
    そのプレイが正解かどうかということは決定づけにくいのです。
    が、今回は一言言わせて頂きたいです。
    自分は最初からポーカー道からテキサスホールデムを始めたので、
    このサイトが初心者にとって最も入りやすいことは知っています。

    ケース1について

    BBのハンドレンジにおいて、AとJは本線でしょう。
    実際はAXが釣れたとか、そういう場合が多いと思います。
    これについては特に異論はありませんが、強いて言うならば、
    ペアボードでポットサイズもベットするのは、オーバーベット気味かと思います。
    ほかのペアボードでもポットサイズ打つ必要が出てきますし
    相手のオッズを外すならそもそも半分か三分の二も打てば十分ではないでしょうか。
    これは私のプレイスタイルが、小さなベットでたくさんのアクションをするという
    コンセプトに基づいているので、そこまで大した問題でもないとは思うんですが。

    ケース3について

    ライブでこういうプレイをして、セットに即コールされるプレイヤーをよく見かけます。
    こういうプレイを撒き散らしていると、
    インプライドオッズが合えば、相手はポケットさえあればなんでもコールしてくるでしょう。
    もちろん言いたいことはわかるんです。
    『ナッツの時にオールインしてブラフと疑ってもらう』
    ですが実際、ブタハンドの時でもオールインしないとバランスが取れません。

    このケースで例えば、MP1がJJを持っていたとしましょう
    あなたはポットの8割打ってもコールされる場合が多いと思います。
    あなたはルースアグレッシブだからです!
    例えばターンでKが落ちた場合、MP1はほとんどチェックで回してくるのではないでしょうか?
    あなたもチェックして、リバーで3でも落ちたとしましょう。
    MP1がベットしてきたらオールインをします。
    相手はまさかあなたがKを持っているとは思わないでしょう。
    たんなる9ヒットだと思いコールしてしまうのではないでしょうか?

    あくまで一例にしか過ぎません。
    基本的にこういうプレイはリバーで繰り出される場合が多いと思います。
    続きます

  2. ポーカーマン より:

    ケース2

    前に3人のリンパーがいます。
    素直にレイズしましょう。相手がAKやKKやQQでトラッププレイを仕掛けている場合だって
    あります。BBがリンプしたらその分のバリューがなくなってしまいます。
    確かに、レイズしてフロップが開き、AAをフォルドせざるを得なくなる
    状況もあると思いますが、それはもうしょうがないでしょう。

    相手からみた自分のハンドレンジから、『QQ~AAを除く』
    というコンセプトですが、それは特に意味はないのでは?
    例えばBTNがQQを持っていたとしましょう。フロップでベットしてくるはずです。
    あなたがレイズしても相手はQQを降ろさないと思います
    確かに、あなたのレンジの中にKKやAAは有り得ませんからね。
    相手がAJoやQJoと疑って、オールインを仕掛けてくるかもしれません!

    が、それならプリフロップでもできたはずです。
    BTNがQQを持っていて、BBがプリフロップでレイズすれば、
    BTNは『AXで参加人数を減らしたいだけだ』と判断して3betしてくれるかもしれないです。
    BTNはこの場合でもQQは降ろさないでオールインまで行ってしまうのではないでしょうか?

    フロップでこちらが怖いのは、せいぜいJ9sとセットだけってことですが、
    ターンでQなんかが出ると、Q9s、QJと広がり、
    Tが落ちればKQにまくられた可能性も追加されます。
    4wayポットではあってもおかしくありません!
    そして彼らはそれをフォルドする気はほとんどないでしょう。

    加えて、BBでレイズできるハンドならレイズしておかないと
    スチールの標的にされてしまいます。
    現在はリスチールの方が稼げるプレイだったりするので、
    この点はそこまで問題ではないと思いますが。

    続きます

  3. ポーカーマン より:

    最後にこれは個人的な希望なんですが
    このサイトに「3bet」のコラムを追加して欲しいです。
    過去のポーカーでは3betはほとんど確実にプレミアムハンドを意味していましたが
    現在は27oまでありうるでしょう。
    なんかライブやっててBBの3betにKKやQQを降ろしたとかいうプレイヤーが
    増えてるので、ここで取り上げて3betに対する認知を一般的にして欲しいです

  4. 一読者 より:

    コメント欄めっちゃためになりました。
    ポーカーマンさん有難う御座いました。

  5. si より:

    これ絶対木原さんやろwww

  6. りんぱあ より:

    木原さんはこんな頭悪そうなコメントしないよ

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