ポットコントロールは、ポットに入った額を意識的に小さいものにしたり大きいものにしたりするアクションのことを指します。
ポットコントロールを使うシチュエーション
極端な例でいうと、ナッツを持っているときは、ポットのサイズは最大まで大きくなってほしいはずなので、アクションは一貫してポットサイズを大きくするために行うことになります。
ナッツを持つということは、あなたの勝利が確定しているわけですから、ポットサイズ=100%自分の利益となり、ポットサイズはどこまで大きくなっても問題ありません。
ポットコントロールは、主にポットサイズを小さく保つときに使われることが多い用語です。
ヘッズアップでフロップが開き、あなたのハンドがボトムヒットだった場合、マックするほど弱くはないけれど、アグレッシブに攻めるほど強くない場合などに、ポットを小さく保ったままショーダウンに持ち込む、といった場合にポットサイズをコントロールします。
また、それなりに強いが、負けているハンドも多数存在するような難しい状況で、生き死にを賭けた勝負にならないようにポットサイズを小さく保ったりするのもポットコントロールです。
ポットコントロールを行う場合に重要なのが、チェックとコールです。
ターンでのチェック
多くの場合、ターンでチェックすることで、ポットサイズを抑えることでポットをコントロールできます。
あなたはというハンドを持っており、ポジションはBTNだとします。(全員100BB持ちとします)
あなたまでフォールド→あなたレイズメイク3BB→BBのみコール(ポット7BB)
フロップ:
BBチェック→あなたベット5BB→BBコール(ポット17BB)
あなたは相手がJをヒットさせた以外には勝っていると判断しCBを打ちますが、BBはコールしました。BBは何かしらの根拠があってコールしているはずです。57などのドローの可能性もありますが、57でレイズにコールするでしょうか?ポケットペアや、Jヒット、2オーバーなどが濃厚です。
ターン:
BBチェック→あなたチェック
このチェックの意図は、ポットを小さく保つことです。
ここであなたがバリューベットして、コールしてくれそうなあなたより弱いハンドは、22~88のポケット、4ヒット、6ヒット、クラブのフラッシュドロー、オープンエンドなどですが、コールする可能性は低く、高い確率で全てフォールドされそうです。(ドローをなんでも引きにくるフィッシュ相手なら別)
もしコールされるとすれば、ほとんどあなたより強いハンドの時だけです。よって、ベットすることでバリューはほとんど発生せず、損害を大きくするだけの可能性のほうが高いため、チェックしてポットサイズを小さく保ちます。
リバー:
BBベット10BB(ポット17BB)→あなたコール
は35持ちのオープンエンドを完成させた可能性がありますが、ほぼラグといっても問題ないカードです。相手の10BBベットは、JヒットやKヒットの可能性もありますが、あなたよりも低いポケットやドローを外したブラフの可能性もあるため、コールしてショーダウンする価値はあります。最終的にはポットサイズ37BBでショーダウンですが、もしターンでもあなたが10BBベットし、コールされた場合、リバーでの相手のベットは20BB近くになり、ポットサイズは80BBにも膨れ上がります。
あなたの99というハンドは、ただの9のワンペアにすぎません。このようなハンドで80BBという大きなポットを争うのはリスクが大きすぎます。
4ベットではなくコール
トーナメント中盤、5人のテーブルであなたはというハンドで、ポジションはミドルポジションだとします。(全員50BB持ちとします)
あなたまでフォールド→あなたレイズ3BB→BTNレイズメイク8BB→あなたコール
相手はボタンでリスチールをしているだけの可能性もあり、JJというハンドは相手のプレイスタイル次第ですが、4ベットも可能なハンドです。しかしここでチェックしてポットサイズを小さく保ちます。ポットは19BBです。
フロップ:
あたなチェック→BTNチェック
ALLダイアという危険なボードです。あなたはオリジナルレイザーまでチェックでまわし、相手の出方を見ますがBTNもチェックしました。BTNにとっても嫌なボードなのかそれともポケットペアなのか、フラッシュドローの可能性もあります。
ターン:
あなたチェック→BTNチェック
4枚目のダイアは当然あなたにとって喜ばしいものではありません。あなたのハンドにはダイアはないのです。あなたはこの時点で相手がダイア無しのJ以下のポケットペアか、ダイア無しのAxを願ってショーダウンを目指します。
リバー:
あなたチェック→相手ベット10BB→あなたコール
リバーはラグでしょう。しかし相手はベットしてきました。考えられる相手のハンドレンジは88+、AQ+(ダイアあり)、AQ+(ダイア無しでブラフ)。
あなたが負けているハンドも多いですが、勝っているハンドも多くあります、19BBのポットに対して10BBのベットは、ポットオッズ約4倍、25%の勝率があればオッズ的にはコールできます。コールして負けても、まだ32BB残るため、まだ十分トーナメントで戦えます。
もし、プリフロップであなたが4ベットし、ポットが50BBに膨らんでいた場合、相手のリバーでのベットはオールインになります。あなたはコールして負けるとトーナメント敗退というシチュエーションになります。このボードでは、ダイア無しでオールインにはなかなかコールできません。
大きく勝っているか大きく負けているかのどちらか
あなたはというハンドを持っており、ポジションはBTNだとします。(全員100BB持ちとします)
あなたまでフォールド→あなたレイズ3BB→SBのみコール(ポットは8BB)
フロップ:
BBチェック→あなたベット6BB→BBコール(ポット20BB)
ドロー目のないフロップでコールできるのはほとんどの場合Aを持っている場合だけです。あなたのハンドはトップヒットキッカーJとかなり強いハンドですが、相手がAヒットなのであればキッカー勝負ということになり、大きく勝っているか大きく負けているかのどちらかしかありません。相手はポジションがないためAQ+でレイズせずにコールしている可能性も高いです。
ターン:
BBチェック→あなたチェック
リバー:
BBベット8BB→あなたコール
BBはをショウ。
おそらくあなたにフォールドするという選択肢はないでしょうから、ポットサイズを小さく保つことで、被害を最小限にとどめたことになります。
ポットコントロールのメリット
上で示した3つの例からも分かる通り、ポットコントロールのメリットは被害の最小化にあります。
ハンドが負けている場合の被害、相手に降ろされて本来得るはずだった利益を失う被害を最小化します。
ポーカーは大きく勝って小さく負けることで利益を出すゲームですから、利益を最大化するのと同様、被害を小さくすることも重要なのです。「ビッグハンドはビッグポット、スモールハンドはスモールポット」です。
また、ポットコントロールすることで得られるメリットとして
- トーナメントで飛ぶ確率を減らす
- 相手のブラフをキャッチする
などのメリットもあります。
ポットをコントロールしようと思うと、どうしてもチェックやコールといったパッシブなアクションをすることになるため、相手が「降ろせるかも!」と思ってブラフしてくれる可能性が高まります。
こうしたブラフも、ポットサイズが小さければ、少ないリスクでキャッチすることができます。
しかしノーリミットの場合、ポットサイズをコントロールしようとしても、相手にオールインされてしまえば、コントロールもなにもありません。伸るか反るかです。それがノーリミットのおもしろさでもあり、怖いところでもあります。
また、ポットをコントロールしようとしすぎて、バリューベットすべきシチュエーションで打たない、ということがないように、状況をしっかり判断しなければなりません。
どちらかというと、ポットコントロールするよりもバリューベットしたほうがよいシチュエーションのほうが多いでしょう。
ポットコントロールは
- 負けている可能性と勝っている可能性が近い
- 大きく負けているか大きく勝っているかのどちらか
- 相手がブラフを多用するプレイヤーである
などの場合にのみ意識するようにすべきです。
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