スモールボールとロングボール

スモールボールはもともと野球の用語で、長打(ホームランなど)で得点を稼ぐのではなく、バントなどの犠打と機動力を活かして確実に1点を取りにいくプレイスタイルのことです。

ポーカーにおけるスモールボールとは

近年、ポーカーでもスモールボール戦略が有名になってきました。
(2019追記:2019年年現在は古い戦略になっていますが、概念として知っておくのは問題ありません。)

ポーカーおけるスモールボールとは、簡潔にいうと

「ポットサイズを小さくおさえ、飛ぶリスクを負わずに確実に勝ちを重ねる戦略」

と言えます。

ロングボールはその逆で、長打で稼ぐ、つまり

「オールインで一気にビッグポットを獲得する戦略」

と言えます。

スモールボールは難しい

スモールボールは、ある程度上手いプレイヤーでないと実践できません。

ポットサイズを小さく保ち、オールインまでの距離をできるだけ長く(コミットしてしまうような状況にしない)し、フロップ以降もターン、リバーとアクションを行い、出来る限り相手の情報を収集して、負けそうな場合は被害を最小限に、勝っている(勝てそうな)場合は、確実にポットを獲得していくことになります。そう、非常に技術が必要な戦略なのです。

テキサスホールデムは、ベッティングラウンドが進めば進むほど技術が必要になります。そういった高度な技術が必要な領域まで相手を引きずりこんで、相手とのスキル差を最大限まで活用し、圧倒するのです。

プリフロップでのレイズの大きさは、標準的には3~4倍ですが、スモールボール戦略では一律2.5BBに抑えます。

レイズというのは一般的に3倍という基準が定着していますから、最初のレイズが3BBであった場合、誰かがリレイズするとしたら9BBとなります。しかし、最初のレイズを2.5BBに抑えることで、3倍のリレイズは7.5BBとなり、ポットサイズが小さくなります。

このポットコントロールがスモールボール戦略では非常に重要になってきます。
※ポットコントロールは、決してパッシブにプレイすることと同義ではありません。

フロップ以降のプレイも、ベットやレイズの額を調整し、いたずらにポットを大きくしません。
この、飛ぶリスクを減らす、というのは、主にトーナメントで重要となります。

キャッシュゲームでは飛んでもまたATMからお金を引き出せばいいだけですが、トーナメントは飛んだらそこで試合終了なのです。AAでもプリフロップオールイン対決になれば10回に1~2回は飛びます。

スモールボールは、自分のハンドの強さだけでなく、相手のハンドの強さの予測、相手のテルやアクションから見える弱み、その他全てを総合して勝ちにいくので、スターティングハンドに求められる強さはそれほど厳しくありません。つまりルースアグレッシブなプレイスタイルになります。

ロングボールとは

ロングボールはスモールボールと逆で、ターン以降をほとんどプレイしません。プリフロップでオールインしたり、フロップでオールインしてしまいます。

ゲームをシンプルにすることで、じゃんけん勝負にもっていき、相手との技術力の差を縮めて勝負します。ショートスタック戦略はまさにロングボールと言えますね。

ショートスタック戦略
スタックをあえて小さくして戦う戦略。

そのため、よいスターティングハンドが必要で、プレイスタイルはタイトアグレッシブになります。

スモールボールとロングボールの「ミスする可能性」から見た違い

スモールボールは、ターンやリバーまでアクションを行うため、その分、1ゲームの中で行うアクションの数は多くなります。

完璧な人間はいませんから、「人間は一定の確率でミスをする」と仮定した場合、アクションの回数が多ければ多いほどミスする可能性も高くなります。

そのため、自分よりも相手のほうがミスをする可能性が高い(多い)、つまり格下相手の場合にスモールボールは有効となります。

しかしロングボールは一旦オールインしてしまえば、後は相手がコールするかフォールドするかの2択をせまることになります。相手がフォールドすれば勝ち、コールされてもショーダウンで勝つ可能性が残されています。オールインはフォールドエクイティを自分のものにしつつ、こちらが「勝っているのに降ろされる」というミスをする可能性は0になります。もちろん最初のオールインという選択そのものがミスになる可能性もありますが・・・。

しかし例えば40BB持っておりKKが来た場合に、毎回プリフロップオールインするとして、そのプレイがミスと言えるのは誰かがAAを持っている場合のみです。(相手が27で2のトリップスを作られて負けたとしてもそれはバッドビートであり、間違ってはいません。)

そのようなシチュエーションはなかなか起きませんから、毎回オールインはミスにはなり辛いと言えます。

もちろん、KKのようなプレミアハンドをただのスチールで終わらせるのはもったいない、という意見もごもっともなので、決してベストな選択とは言い切れません。

チェックの活用

ロングボールではスターティングハンドを絞ってプロフロップやフロップでアグレッシブにベットしますが、スモールボールではチェックの使い方が非常に重要です。

チェックは、相手に弱みを見せることになったり、相手にフリーカードを与えることになるため、アグレッシブさが良しとされる昨今ではあまり推奨されていません。しかしチェックには以下のような利点があります。

  • ポットサイズを小さく抑えれる
  • ポジションがある場合チェックすることで相手にブラフさせない
  • 相手のブラフを誘える
  • ポジションがあるときにフリーカードを得る

ポットサイズを小さく抑えれる
ポットサイズを大きくしたいのは、ナッツやそれに近いパワフルなハンドを持っている場合です。それ以外の場合、常に相手には上のハンドを持たれている可能性があるため、中程度のハンドの場合チェックを活用してショーダウンまでもっていきます。

ポジションがある場合チェックすることで相手にブラフさせない
たとえばBTNでリバーまでいき、セカンドヒットだとします。おそらく勝っているであろうという予測があり、バリューベットしたときに、相手にレイズされてしまい、泣く泣く降ろされる、という状況を未然に防ぎます。ベットする前に、レイズされてもコールできるのかどうか、というのを念頭におき、難しい判断を迫られそうであればチェックしてショーダウンするのが合理的となります。

相手のブラフを誘える
チェックは一般的に弱みを意味します。自分が、トップヒットしており、おそらく勝っていると思うが、ベットしてコール(レイズ)されるのは相手のほうが強いときだけ、という状況でチェックしただけなのにも関わらず、相手があなたのチェックを弱みと判断してブラフのベットしてくれることがあります。

ポジションがあるときにフリーカードを得る
ターンでフラッシュドローになり、相手がチェックしたので、ベットしたところ、チェックレイズされてしまった場合、フラッシュを引きにいくだけのオッズがまったくなくなり泣く泣くフォールドするしかない、という状況になります。せっかくのドローをただで引きにいかせてもらえるのならば、チェックしてリバーを見るというのも保守的ですが合理的です。

やっぱりポジションが大事

スモールボールのように、相手を技術で圧倒するためには、やはりポジションが必要です。

せっかく格下が相手でも、自分がアウトオブポジションだった場合、そのスキルの差を有効活用しにくいからです。

相手に先にアクションさせてはじめて、技術力の差を最大限に活用することができるのです。

shimadaさんのブログにあるスモールボールの連載が非常に勉強になるので必読です。

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