CSI(Chip Status Index)とM値はどちらも同じ意味です。CSIはLee Nelsonの著書、Kill Everyoneに記載されているもので、M値はDan Harringtonの著書、Harrington on Hold’emに記載されています。端的にいうと、トーナメントにおいて、何もしないであと何週生き残れるか、を表します。
CSI(M値)の計算方法
以下の式でCSI(M値)を求めることができます。
自分のスタック÷(SB+BB+アンティ×人数)
BBアンティが主流になっているため、現状の計算式は以下
自分のスタック÷(SB+BB+アンティ)
記事内の計算式は、旧式のままにしておきますが、脳内でBBアンティに置き換えてください。
例えばMTT(マルチテーブルトーナメント)中盤、10人がテーブルに座っており、ブラインドは
SB600-BB1200、アンティ100だとします。あなたのスタックは12000です。式に値を入れると
12000÷(600+1200+100×10)=4.3
となり、あなたのCSI(M値)は4.3となります。
これは、あなたが配られたハンドを全てフォールドしていくと、4.3周でチップが無くなってしまうことを意味します。
CSI(M値)は、わかりやすく言えば焦る必要があるのかどうかを判断する目安となります。
トーナメントは飛んだら終わりなので、ぶつかる相手とのスタックの差によって、置かれる状況が大きく変わります。
- 自分より多いスタックを持つ相手との勝負:負ければ終わり。ただしインプライドオッズは最大。
- 自分より小さいスタックを持つ相手との勝負:負けてもまだ生き残る。ただしインプライドオッズは小さい。
もちろん、僅かな差であればそれほど差はありません。生き残っても超ショートスタックになってしまえば、ブラインドが上昇している状況ではほぼ死を意味します。(けれど「まだ死なない」という状況は若干のプラス材料にはなります。)
つまり、自分よりチップが多いプレイヤーや、負けると大きなダメージを受けてしまうようなチップ量のプレイヤーからのアグレッシブなプッシュに対しては、コールやレイズする側も非常に慎重になります。
スタックの大きさ=相手に与えるプレッシャー
となるのです。
つまりスタックの大きさを意味するM値が大きい場合は問題ありませんが、小さくなればなるほど、相手に与えるプレッシャーは減っていくことになります。
これは、スチールの成功率に大きな影響を及ぼします。
M値によって、自分のおかれている状況は以下のようになります。
CSI(M値)20以上
余裕を持ってプレイできる状況です。普通にプレイして問題ありません。
ほとんどの相手に対して、あなたは大きなプレッシャーを与えることができます。気をつけるべきは、あなたよりも大きなスタックを持つ超ビッグスタックとのぶつかり合いだけです。
CSI(M値)13~19
セミアグレッシブにプレイすべきです。じっとしていると「オールインしか選択肢がない」予備軍に入ることになります。
スーテッドコネクターやスモールペアでのリンプインはぜず、フォールドかレイズで参加します。3ベットしてリスチールできるのはこの段階までです。M値12以下になると、3ベットはほぼコミットになります。
CSI(M値)7 ~12
アグレッシブに攻めなければなりません。どのようなハンドであれ、フォールドorレイズで参加します。まだぎりぎりムーブができる段階です。
CSI(M値)4~6
M値が5あれば、まだフォールドエクイティはそれなりにあります。アーリーポジション(すぐにBBがやってくる)であれば、ルースにプッシュします。上位49%のハンドであればプッシュすべきです。
あと一度ブラインドでスタックが削られると、ハンドを選ぶ余裕はなくなります。ただし、まだ一周しても生き残ることができるので、クズ手でプッシュする必要はありません。レイトポジションとSBの場合、後ろの控えるプレイヤーがルースならば、若干タイトになるべきです。57oでプッシュするよりも、あと数回ハンドを選んだほうが、良いハンドがやってきます。
CSI(M値)2~3
この数値には本来なりません。なぜならここまで下がる前にオールインをしており、ダブルアップか飛んでしまっているかのどちらかだからです。
しかしあなたよりもよりショートスタックのプレイヤーのオールインをコールした場合か、あなたのオールインにショートスタックがコールした場合に、このような状況になりえます。
まだぎりぎりフォールドエクイティがあるため、すべてのポジションであらゆるハンドでプッシュすべきです。もう一度ブラインドでスタックが減少すると、フォールドエクイティを完全に失ってしまいます。
UTGであれば、ハンドを選ぶことはできません。どのポジションであっても、あなたまでフォールドでまわってきたら、それはもうどのようなハンドでもオールインするべきです。次のハンドに期待しても、次もあなたまでフォールドでまわってくるとは限りません。次にBBがまわってきてしまったら、もう風前の灯です。
CSI(M値)1以下
何もできません。
次にBBがまわってくれば自然死確定です。フォールドエクイティは皆無で、最も運がよくてBBとのヘッズアップになります。
本来この状態になる前にオールインで勝負に出ておかなければなりません。
もしこの状態であなたの前にレイズが入れば、積極的にコール(オールインすべきです)。リンパーたちに混じって複数人を相手にするより、レイザー一人とヘッズアップになったほうがまだ勝率があります。
ショートハンド(10人以下のテーブルの場合)
CSI(M値)の計算式を以下のようにします。
自分のスタック÷(SB+BB+アンティ×人数)×(テーブルの人数/10)
つまり、ショートハンドなテーブルほど、実際のCSI(M値)は小さくなります。これはブラインドがまわってくる頻度が多いため、スタックが削られる速度も早く、10人のときと同じような感覚でハンドを選ぶ余裕はないからです。
この記事の最初で書いた例ではCSI(M値)4.3でしたが、5人テーブルだとすると
12000÷(600+1200+100×5)×(5/10)=2.6
となり、より切羽詰まった状況であることがわかります。
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