自分のハンドvs相手のハンドレンジでは、自分のハンドと相手のハンドレンジとを比較して自分のハンドの勝率などを導き出しました。今回はさらに上の概念であるレンジvsレンジについて説明します。
ハンドレンジについての理解がまだの人はこちら。
自分のハンドと相手のハンドレンジについてはこちら。
レンジとレンジを比較するのはなぜか
相手のハンドはわからないのでハンドレンジとして想定するのは理解しやすいですが、レンジvsレンジとはどういうことなのでしょうか。
「自分のハンドは見えてるんだからわかってるよ!なんで自分のハンドがレンジなんだよ!」
と思う人も多いのではないでしょうか。
これはつまり、あなたのハンドも相手から見たらわからないので、自分のハンドもハンドレンジとして考えるということです。
なんのためにそんなことをするのか、それは相手のアクションの動機があなたのハンドレンジによって左右されるからです。
極端な例で説明します。
自分がロックの場合
あなたは超絶タイトなロックだとします。相手はルースな中級者で、あなたが超絶タイトなロックだと知っています。
全員100BB持ち、プリフロップでMP1からあなたはで3BBにレイズ、BTNが8BBに3ベット、あなたは18BBに4ベット、BTNはコールしました。ポットは37.5BBです。
フロップ:
あなたは30BBをベットすると相手はフォールド。
あなたは超絶ロックで4ベットしているのでレンジはQQ-AA、相手のレンジは上位15%からQQ-AAを除いたものだとします。
あなたのレンジ:QQ+
相手のレンジ:JJ-77,A7s+,K9s+,QTs+,JTs,ATo+,KTo+,QJo
フロップ時点でのお互いのエクイティは以下のようになります。
エクイティには大きな差があり、ポットオッズから見た相手の必要な勝率は31.7%なので、相手はほとんどの場合フォールドします。
Aハイ、JJ、Tのワンペア、99、7のワンペア、88、66など全てフォールドしてしまいます。
コールするのはTTと77のセットの時だけでしょう。
自分がルースな場合
あなたはかなりルースです。相手はルースな上級者で、あなたが超ルースだと知っています。
全員100BB持ち、プリフロップでMP1からあなたはで3BBにレイズ、BTNが8BBに3ベット、あなたは18BBに4ベット、BTNはコールしました。ポットは37.5BBです。
フロップ:
あなたは30BBをベットすると相手はコール。
あなたは4ベットしていますが超ルースなのでレンジは上位8%だとします。相手のレンジは上位15%からQQ-AAを除いたものだとします。
あなたのレンジ:88+,ATs+,KTs+,QJs,AJo+
相手のレンジ:JJ-77,A7s+,K9s+,QTs+,JTs,ATo+,KTo+,QJo
この場合のレンジ同士のお互いのエクイティはこうなります。
あなたがロックな時とくらべて相手のエクイティはかなり高くなっています。
相手のオッズから見た必要な勝率は31.7%なので、相手はコールする場合も多々あるでしょう。
全てのポケットペア、トップヒット、ミドルヒット、中にはAハイでコールするプレイヤーもいるかもしれません。
自分のレンジが相手に与える影響
上に示した2つの例は、あなたのハンド(KK)とフロップで開いたボードは同じです。
違いはあなたのハンドレンジだけです。
もしあなたが自分のハンドレンジを、相手がどう思っているかを把握していればロックな時のプレイが変わってきます。
あなたがロックな時、オールインしてコールされるのはセットの時だけなのでベットに意味がありません。なぜなら相手はあなたのことをQQ、KK、AAのいずれかだとわかっているからです。Tのワンペアではコールしてきません。
よって、自分がロックだと思われているのであれば、こうしたボードでチェックするのはありです。
このように、相手が考えるあなたのハンドレンジによって、相手のアクションが変わります。
簡単に言うと、タイトなプレイヤーはタイトにコールされ、ルースなプレイヤーはルースにコールされる、ということです。
こうして見ると、タイトすぎる場合バリューを最大限に引き出すのが難しいのがわかります。
KKというせっかくのプレミアハンドなので、相手に弱いハンドでコールして欲しいのですが、相手はそんなことをしません。
レンジvsレンジから見たハンドの相対的な強さ
ポーカーはパワフルなハンドであるかそうでないかは自分のレンジ、相手のレンジ、ボードによって変わる相対的なものです。
KKは非常に強いハンドですが、AAしかプレイしないレンジのプレイヤー相手にはマージナルです。Aが落ちたボードに対してもマージナルです。
しかし広いレンジでプレイするプレイヤー相手で、ボードがレインボーでローカードばかり並んだ場合は非常に強く、大きな期待値があります。
逆にあなたがAAかKKしかプレイしないプレイヤーだとしてKKを持っていても、もちろんハンド自体が強いことには変わりありませんが、相手がそれを知っていた場合大きなバリューを取ることはできません。AAかKKを持っていることが相手にバレているので、それに負けるハンドでは勝負してこないからです。
このように、自分のレンジと実際のハンド、相手のレンジと実際のハンドの組合せによって、期待値は上下します。
以下の表は、プレイスタイルと自分と相手とのレンジの組合せを書きだしたものです。
- スタイル:ルース=レンジが広い
- スタイル:タイト=レンジが狭い
- ハンド:モンスターレンジ=実際のハンドが強い
- ハンド:マージナルレンジ=実際のハンドが弱い
この表で最も利益を生み出すのは1~4のパターンで、自分のスタイルがルースで、まわりもそういったイメージを持っている状況でモンスターレンジを持っている場合です。
相手がどのようなスタイル、どのようなレンジを持っていいてもチップをポットに入れるという判断をしやすくなります。
逆に9~12のタイトプレイヤーがモンスターレンジを持っていても、相手はそれを想定しているので、相手がモンスターの時の9か11の時にしかチップをポットに入れません。
タイトなプレイヤーは14と16のマージナルレンジを持っていて、相手のレンジもマージナルな時こそバリューを取りにいくべきです。つまり相手にこちらのレンジを強く想定してもらい、相手を降ろします。
自分のレンジを相手に絞らせない
これまで書いてきた、ハンドレンジ、自分のハンドvs相手のハンドレンジ、そしてこの記事を見てわかるように、相手のレンジだけでなく、(相手が考える)あなたのハンドレンジというのも非常に大事なのです。
最も危険なのは、あなたのハンドレンジが相手に絞られることです。
上級者は様々な手を使ってあなたのハンドレンジを絞り、高い精度でハンドをリーディングしてきます。
そうさせないために大事なのが、バランシングです。
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